365体育app5年度入学式 式辞
春の柔らかな日差しが降り注ぐ今日の良き日に、和歌山県立医科大学に入学される医学部の皆さん、保健看護学部の皆さん、薬学部の皆さん、助産学専攻科、大学院医学専攻科ならびに保健看護学専攻科の皆さん、誠におめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。また、入学生を本日まで大切に育てられ、晴れてこの日を迎えられましたご両親をはじめ、ご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。
本日、入学式を挙行するにあたり、ご多忙の中、和歌山県知事?岸本周平(きしもと しゅうへい)様をはじめ、多数のご来賓の方々にご臨席を賜りましたこと、心より厚くお礼申し上げます。
さて、皆さんは、憧れの和歌山医大に見事、合格されました。皆さん一人一人のこれまでのたゆまぬ努力が実り、晴れのこの日を迎えられ、慶びもひとしおだと思います。特に、この三年間は、コロナ禍の中で、不自由な勉学環境の中にあっても受験勉強に専心され、見事栄冠を手にされました。この感激を忘れることなく、これからの本学での長い学生生活を有意義に過ごして欲しいと思います。
本学は長く医学部医学科の単科医科大学でしたが、平成16年に2番目の保健看護学部が開校し、そして、一昨年4月に3番目の学部として薬学部が開校しました。近畿の公立大学では初めての薬学部を擁する大学となり、名実ともに医療系総合大学としてスタートを切りました。新入生の皆さんは、これから医療系総合大学としての本学の新たな軌跡を描いていく学生であります。私たち教職員も皆さんとともに本学の新たな未来に共にチャレンジしていきたいと思います。
私は、理事長?学長として、本学の基本的な運営の方針として「地域ととともに世界に羽ばたく大学へ」という方針を掲げています。本学は、和歌山の地にしっかり根を下ろし、医師?薬剤師?看護師等の優秀な医療人を育成し、和歌山の地域医療をしっかり支えると同時に、教育、研究、医療の最先端レベルの知見、情報をこの和歌山から世界に発信するというものです。医学部、保健看護学部、薬学部の3学部を擁する本学は、皆さんと共に大いなる発展を遂げるべく新たなスタートを切りたいと思います。
さて、晴れて本学に入学された皆さんに、3つのことをお話ししておきたいと思います。
一つ目は、自ら主体的に学ぶ態度を育んでいただきたい。「学ぶにあらざれば以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以って学を成すなし」(学ぶことで才能は開花する 志がなければ学問は成就しない)という名言があります。大学とは、「学び方を学ぶ」ところであります。いのちを科学する医学医療の学びは、幅広く、深く、きっと皆さんの知的好奇心をくすぐる筈です。その知的好奇心の探求こそが自ら学ぶ意欲へとつながります。教員からの教えだけに依存するのではなく、自ら主体的に学ぶ態度の涵養に努めていただきたいと思います。
二つ目は、本学学生となった皆さんは、自分は社会的存在になったことに目覚めてほしいということであります。皆さんは、精励努力され難関の和歌山医大に入学されました。晴れて医学部生、保健看護学部生、薬学部生になられた皆さんは、一大学生にとどまらず、医療の未来の担い手として社会からの大きな期待と責任を負った存在となったということを事実として受け止めていただきたい。このことは、365体育app感染症に相対峙する医師、看護師、薬剤師をはじめとする医療職の方々の日々の活躍の姿から皆さんはそれぞれの職種での未来の自分の社会的責務を感じ取ったことと思います。そうした自覚のもとで、優れた医療人を目指して、勉学に主体的に取り組む、本学学生として責任ある行動をする「自立した自己」を確立していってほしいと思います。
三つ目は、心豊かな学生生活を送ってください。
本学の各学部に入学した皆さんは、縁あって同級生となりました、お互いの出会いは、これから皆さんの人生の中で、互いに助け合う盟友となることでしょう。それぞれの個性を互いに認めつつ、お互いに高めあうことで一人一人の学生生活が豊かになるはずです。その結果として、心豊かな医療人としての素地が涵養されることでしょう。
勉学だけではなく、クラブ活動を通しての互いを磨きあい、切磋琢磨して友情を育組むことも重要です。今年度は、365体育app感染症の動向を注視しながら、最大限クラブ活動の活性化を支援し、皆さんの期待に応えていきたいと思います。
入学生の皆様には、記念品として、「初代学長、古武彌四郎先生、生誕140年記念誌」を差し上げます。本学と医学部同窓会、有志により昨年刊行されました。古武先生は、トリプトファン代謝の重要物質である「キヌレニン」の発見者として有名でノーベル賞に匹敵する業績を上げられた、国際的に著名な研究者であられました。先生は、後輩、学生に向けた数々の「古武語録」を遺されています。私を含め、和歌山医大の卒業生は、皆、古武先生の薫陶を受けて成長してきました。皆さんも是非、ご一読ください。
「本も読まねばならぬ 考えてみねばならぬ 然(しか)して凡人は働かねばならぬ 働くとは天然に親しむことである 天然を見つめることである かくして天然ガ見えるようになる」 記念誌 177ページに「古武彌四郎先生の教訓、凡人とは」と題して私なりの先生の教えを綴っています。学問の深淵を説いた言葉です。是非、味わってみてください。
365体育app感染症の流行は、5月をもって感染症法では5類に分類され、徐々に沈静化することが期待されます。
本学としましては、過去3年間のコロナによる学生諸君の勉学への影響を踏まえ、学内のWi-Fi(ワイファイ)設備、学内外への通信網の充実?強化、実習ソフト、臨床実習用シミュレータの充実、更には、VR?ARを活用したバーチャル体験型臨床実習をはじめ多方面のactive learning(アクティヴ ラーニング)機器の導入を行い、教育環境を充実させて参ります。本学は、「教員と学生との距離が近い」素晴らしい伝統を有している大学です。この伝統をさらに進化させ、学生の皆さんの学修者本位のカリキュラム、教育体制を築いてまいります。皆さんの学生生活への支援体制も更に充実させて参ります。
最後に、皆さんのこれから始まる本学でのキャンパスライフが、希望に満ちた充実した日々であり、優れた医療人へと成長されることを心より祈念して式辞とします。
365体育app五年四月五日
和歌山県立医科大学
学長 宮下 和久