365体育app6年度入学式 式辞
本日ここに和歌山県立医科大学に入学される医学部、保健看護学部、薬学部の皆さん、助産学専攻科、大学院医学薬学総合研究科ならびに保健看護学研究科の皆さん、誠におめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。これまでの皆さんの努力に敬意を表するとともに、皆さんを支えてこられましたご家族や関係者の方々にお祝い申し上げます。
本日、入学式を挙行するにあたり、ご多忙の中、和歌山県知事?岸本周平様、和歌山県議会議長?濱口太史様をはじめ、多数のご来賓の方々にご臨席を賜りましたこと、心より厚くお礼申し上げます。
本学は1945年に開学し、70有余年の歴史をもつ大学です。長く医学部医学科の単科大学でしたが、2004年に2番目の保健看護学部を開設し、そして、2021年4月に3番目の学部として薬学部を開設しました。近畿の公立大学では初めての薬学部を擁する大学となり、医療系総合大学として今年で4年目を迎え、本学は自らその存在価値を確立し、今後も挑戦と成長を続け、医療の発展に寄与し、社会貢献を果たす使命と責任を担っています。そこで、本学は「地域を支え、世界に挑む:医療の未来を築く医療系総合大学」という基本指針を掲げ、和歌山県の医療に貢献する優秀な医療人を育成すると同時に、大学病院として高度先進医療を提供することにより県内医療の最後の砦となり、地域社会に貢献しています。さらに、世界に挑戦すべく教育、研究、医療の最先端レベルの知見、情報をこの和歌山から世界に発信し続けています。皆さんも私たち教職員とともに本学の新たな未来に向かってチャレンジしていただきたいと思います。
さて、このたび晴れて本学に入学された皆さんに、三つのことをお話ししておきたいと思います。
一つ目は、自ら主体的に学ぶ態度を育んでいただきたい。生命を科学する医学医療の学びは、幅広く、深く、きっと皆さんの知的好奇心をくすぐるはずです。その知的好奇心の探求こそが自ら学ぶ意欲へとつながります。教員からの教えだけに依存するのではなく、自ら主体的に学ぶ態度の涵養に努めていただきたいと思います。
二つ目は、本学学生となった皆さんには、将来医療人を目指すものとしての社会的責任を自覚してほしいと思います。医学部、保健看護学部、薬学部の学生になられた皆さんは、一大学生にとどまらず、未来の医療の担い手として社会からの大きな期待と責任を負った存在です。そうした自覚のもとで、優れた医療人を目指して、勉学に主体的に取り組み、本学学生として責任ある行動をする「自立した自己」を是非とも確立してもらいたいと思います。
三つ目は、心豊かな学生生活を送ってください。本学の各学部に入学した皆さんは、縁あって同級生となりました。お互いの出会いは、これから皆さんの人生の中で、互いに助け合う盟友となり、財産となることでしょう。それぞれの個性を互いに認めつつ、お互いに高めあうことで一人ひとりの学生生活が豊かになるはずです。その結果として、心豊かな医療人としての素地が涵養されることでしょう。勉学だけではなく、クラブ活動を通して互いを磨きあい、切磋琢磨して友情を育むことも重要です。
近代医学の基礎を確立したウィリアム?オスラーはかつて「医療はサイエンスに基づくアートである」と提唱しました。医療で言うサイエンスとは、今日まで積み重ねられた膨大な知識や研鑽された技能であり、病気を的確に診断し治療するための基盤となるものです。皆さんはこれから、これらの先人が残した生命科学に関する膨大な知見を学ぶことになります。
一方、患者さんという存在は、サイエンスだけではとらえきれない側面があります。真っ向から向き合うほどに、決して数値やデータのみでは認識することはできない存在だと気付きます。そして、患者さんの心の機微や思いなど「目に見えない存在」を感じ取るための、患者さんに対する人間としての姿勢がアートです。
皆さんがこれから医師、看護師、薬剤師を目指し、究めようとする医学医療の対象は人間です。それぞれに心があり、その人の物語があり、それぞれの人生を生きている人間です。皆さんが学ぶ知識や技術が人々の幸せのために真に生かされるためには、人の心を知らなければなりません。より多くの人と交わり、時には読書に親しみ、人間を深く感じとる感性を育むことが重要です。知を学び、人間として、医療人としての倫理観をそなえるために正しい生き方を学び、自分自身を鍛えていただきたいと思います。
結びに、皆さんが、これから本学において、真なるものを希求する強固な意志、善なるものを認識し実践する行動力、美なるものを感受し創造へとつなぐ感性を養うよう、心から希望します。そして、キャンパスライフが希望に満ちた充実した日々であり、すばらしい医療人へと成長されることを心より祈念して式辞とします。本日は誠におめでとうございます。
365体育app6年4月5日
和歌山県立医科大学
学長 中尾 直之